新潟県新潟市・下越地域にある【浄土真宗本願寺派 太子山 明誓寺】です。
当ブログ『仏事のイロハ』では、葬儀や法事、ご供養など、仏事に関する基礎知識やよくあるご質問にお答えしながら、現代の暮らしに合った供養のかたちをご紹介してまいります。
「お葬式や法事、何から始めればいいのか迷っている…」「お墓のこと、将来どうしよう…」そんな疑問や不安をお持ちの方にとって、少しでも参考になる情報をお届けできれば幸いです。
浄土真宗では、「ご冥福を祈る」という表現を使いません。
これは、浄土真宗のみ教えによるところが大きいです。
まず、「冥福」とは、死後の世界である「冥界」や「冥土」での幸福を指します。他の宗派では、通夜や葬儀の際に「ご冥福をお祈りいたします」といったお悔やみの言葉がよく使われますが、浄土真宗ではこの表現は適していません。
なぜなら、浄土真宗ではお亡くなりになった方は、すでに阿弥陀如来様のお救いのもと「仏さま」(成仏した存在)としてお生まれになっているため、故人様が冥界で過ごすことはないと考えているからです。
浄土真宗では、私たちはこの世の縁尽きた瞬間に阿弥陀如来様のお浄土にご往生する、すなわち阿弥陀様の世界(極楽浄土)に生まれ変わるとされています。
このため、故人の「冥福」を祈る必要はなく、代わりに阿弥陀様のおはたらきによって、すでにお浄土で安らぎを得ていることを聞かせて頂き、故人とのご縁を大切にしながらその方を偲びます。
そのため、浄土真宗でのお悔やみの言葉としては、「謹んで哀悼の意を表します」や「ご逝去を悼み、慎んでお悔やみ申し上げます」といった表現がふさわしいとされています。